「映画は現実を映すものではなく、映画的現実を映し出すものだ」とは、スタンリー・キューブリックの言葉で、「リアリズムというのは悪い言葉だ。ある意味すべてが現実的で、想像と現実の間に境界線は見当たらない、想像の中に多くの現実を見るのだ」と語ったのは、フェデリコ・フェリーニです。
映画とは、作者の心の目を通して見た「世界の再構築」だと思っています。
「異世界の再構築」に成功した作品こそが傑作と呼ばれるに相応しいと考えます。
ルイス・ブニュエルとジャン・クロード・カリエールが紡ぎ出す唐突なシーンの数々……
常に何かに追われ、逃げ続ける悪夢をボーダレスに描き続けるロマン・ポランスキー……
フェデリコ・フェリーニ『8 1/2』がシームレスに誘う夢と幻想……
イングマール・ベルイマン他、数多の名匠、巨匠が繰り返し好んで使うモチーフ「死神」……
クシシュトフ・キェシロフスキの『殺人に関する短いフィルム』や『愛に関する短いフィルム』の極端なフィルターワークと窓越しに覗く世界、または人生の運命を色分けで表現する『ふたりのベロニカ』『トリコロール』……
ラース・フォン・トリアー『エレメント・オブ・クライム』『キングダム』の目眩く黄金色の世界、『ドッグヴィル』の書き割りの村社会、100台のMiniDVカメラが映画的ダイナミズムを生む出す『ダンサー・イン・ザ・ダーク』……
安部公房の『おとし穴』『砂の女』『他人の顔』を、ざらざらとしたモノクロームで表現する勅使河原宏……
あまりに完璧に構築されているが故、異世界までもが現実世界に見えてしまう黒澤明の世界……
ポン・ジュノ『母なる証明』のオープニング、そしてラストシーンで唐突に踊り出す母親……
私の考える映画とはそういうものであり、創作とは人生を掛けて取り組むべきものです。